石舞台古墳近くの休憩所で休みながら地図を見ると、
次に向かおうとしている酒船石まではかなりあります。
休憩を取ったのが確か1時頃だったと思うので、
朝駅を出た時間を考えると、もう結構歩いていますね。
「よしっ」と気合いを入れて、
ぼくは再び歩き始めました。
石舞台を後にすると、しばらく山道を歩きます。
結構急な坂道でさすがに息も切れますが、
その分、見晴しは最高!
んー!と伸びをしてしまいますっ。
そうして見えて来るのが、岡寺です。
岡寺は日本最初のやくよけ霊場として有名。
…と言ってもそのことをぼくは知らず、
(だってマップが全然岡寺をアピってなかったんですよ!)
この日はぼくは立ち寄らなかったのですが、
本尊の如意輪観世音菩薩は日本最大の塑像で、
日本三大仏のひとつだそうで…。
次行った時は絶対見なきゃいけませんねっ。
岡寺の前にはそば屋さんがあって、
とってもそそられたのですが、
うん、ここで休んだら、もう歩けない気がして、
ずんずんぼくは進みました。
酒船石まではまだ少し。
今度は車道を歩いていきます。
この辺りでかなりHIP HOPなチャラチャラ系のお兄さんが、
いきなり車(これもかなりいかつい)をとめて声をかけてきたので、
内心かなりびびったという事件がありました。
けれど、何のことはない、単に道を聞かれただけでした。
しかもそのあと、お兄さんはものすごくお礼を言ってくれて、
ぼくがずっと歩いていることを知ると「頑張れよ!」なんて、
励ましてくれて…、もう感激でした。
ひとの温かさを実感させてもらった出会いでしたね。
同時にまだひとを見かけで判断する自分を反省…。
お兄さん、ごめんなさい。
そして、そうこうしているうちに、念願の酒船石に辿り着きました。
これも飛鳥に数多くある謎の石造物のひとつ。
写真ではわかりづらいかとは思いますが、
石の上面に円や楕円のくぼみを彫り付けてあって、
それらをこれも彫り付けてある細長い溝で結んであります。
酒をしぼる槽(ふね)とも、
あるいは油や薬を作るための道具とも言われたり、
はたまた庭園の施設だという説もあったりして、
本当に謎の多い石造物です。
念願叶ってこの謎の石に出会えたぼくは、
神秘の里飛鳥の空気を胸いっぱいに吸い込んで、
静かな感動に酔いしれました。
そしてここでもとっても温かい出会いを経験します。
ぼくが石の前で写真を取り終えると、
後ろから「写真を撮ってもらえませんか?」と声をかけられて、
振り返ると、おじいさんとおばあさんが。
このお二人、もう見るからに中睦まじさが溢れていて。
おばあさんはもうかなり腰がまがっていて、
歩くのもかなり大変そうなのですが、
それをおじいさんがニコニコした顔でさりげなく前に出て手を取って、
お二人でゆっくりゆっくり歩かれるんです。
写真を撮って差し上げると、お二人で頭をさげて、
これでもかというくらいの温かい「ありがとう」を下さって…。
本当に、こちらが感謝しなければならないくらいの、
優しさと温かさを下さったお二人でした。
お二人にさようならをして、ぼくは先を歩いたのですが、
ちらりと振り返ってみると、やはりお二人は、
お二人のペースでゆっくりゆっくり歩いておられました。
あんな二人になりたいな。
きっとあのお二人を見た誰もがそう思うであろうような、
そんな素敵なご夫婦でした。
飛鳥にはたくさん素敵な出会いが落ちています。
伝飛鳥板蓋宮跡はそこからしばらく行ったところにあります。
中大兄皇子らによる蘇我入鹿暗殺の場で、
大化の改新幕開けの舞台であったと伝えられている場所です。
今は田園風景の中、ひっそりとそこにあるばかりですが、
かつて日本史上それほど重大な政変があったことを思うと、
かえってそのひそやかな空気が、
時の流れとロマンを感じさせます。
跡の中心に降り立ち、しばし目を閉じ佇むと、
いいえもない憂いを感じることができました。
そして次回はいよいよ旅も終盤。
飛鳥寺へと歩みを進めます。
乞うご期待っ。
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